このサイトはクリエイター「匹夫之 優 Hipno You」がデザインする架空の工業製品「exzoskelton」を紹介するページです。サイト内の名称、データ、デザインはすべて架空のものです。
デザイン担当 匹夫之 優 Hipno You
今回exzoskeletonという架空のロボットを
造るにあたって、僕が担当したのは、
デザインするというより
シュミレーションに近かったかもしれません。
ロボットもの:
日本では「ロボットもの」というジャンルがあり僕もその大ファンです。
多くの作品の中で優れたデザインが登場しました。それがビジネスとして成功したことでセオリーが確立され、同じコンセプトもったデザインが多く見られるようになってきました。
先日、20年前の模型誌を手に入れる機会があったのですが、紙面が現在とほぼ変わらないんですよね。定番はいつ見てもワクワクするのですが、いち「ロボットもの」ファンとして「何か新しいデザインを見てみたい」と次第に考えるようになってきて・・きっと皆も心の内で待ち望んでるのではないかと考えた訳です。
そこで「多少畑違いではあるけど、いっちょうやってみるか」と誰にも頼まれていないにも関わらず一念発起しました。
幸いにも、この取り組みを3DCGで再現しようというプロジェクトが立ち上がりこのサイトにて発表するに至りました。この場を借りてお礼申し上げます。
2つの縛り:
さて、exzoskeletonを造るにあたり、僕は2つ縛りを勝手に設けました。それは、
・新しい切り口をもつこと。
・コンセプトの可視化を阻害する
「しかたがないこと」を極力しないこと。
(たとえば、作画しにくいからディテールは控えめにとか、立体化しやすいようパーツを減らす、CGで動かすからローポリゴンでとか、レンダリングに時間がかかるから見えないところは造らないとか、30代のおしゃれに感度の高い層に向けてのうんぬんとか、売れるようにとりあえずツノつけようとか←これはイイ!)
2つめはややこしいマーケティングのセオリーからスタートせず「カッコいいもんつくるから好きなようにさせてください!!」ということです。
リアリティ VS ヒーロー性:
架空のものをデザインするとき、どうしても直面する問題があります。それはどちらかの属性を強めると片方が弱くなるトレードオフの関係にあるものです。
それは「リアリティとファンタジー性」「実用性とヒーロー性(カッコよさ)」であるかと思います。
平たくいうと「リアリティ」を追求するとどんくさくなり、「カッコよさ」を追求すると現実離れしてしまい説得力がなくなります。
本来ならそれぞれのギリギリのバランスを探りながら進めるのですが、今回は特に「リアリティとヒーロー性」を重視し、トレードオフの関係にあるこれら全体を高めることが必要であると考え、新しいアプローチを模索することにしました。
そこで、「リアリティ」を既に獲得している現実世界での「ヒーロー性」の成り立ちについて考えてみました。
戦車と車:
兵器である「戦車」は機能・実用性を重視して造られており(国の命運が懸っているからあたりまえ!)、それをゴリゴリと形作っていったら「こんな感じにできちゃいました」「造ってみたら狙ったわけじゃないけどカッコいいじゃん!」的な感じで、実用性を追求した副産物としての「ヒーロー性」をもっています。しかし造る過程において「ヒーロー性」は完全に分離、無視されています。
それに対して「車」は上から見ると今も昔もどれも四角い箱です。ですが、様々なキャラクターがあり意図された「ヒーロー」性があります。
ここでカッコよくあることは重要で「機能・実用性」と分離されることなく、時にトレードオフされ、時にガッチリ絡んで全体を高めることを猛烈に目指します。
そしてその取り組みは市場からの評価・技術の改善とともにループされ。それを重ねるごとに確実に上昇していきます。
これは制約が多くデザインできる面積が少ないもの、例えば自転車、時計、イヤホン、ボールペン等でも成り立ちます。
要するに、相反する属性を全体的に高め続ける取り組みが、現実の工業製品の世界で当たり前のように起こっているのです。
言い方を変えると、リアルの世界の工業製品はどんなものでも「ヒーロー性」を高め続けることが出来るのです。
新しいアプローチ:
以上をふまえ、今回僕がとったアプローチはー
まず、「if」もしもの仮説を立て、コンセプトを設定しました。それを現実の工業製品の世界、その枠の中に放り込みプロトタイプを造ります。あえて制約の多い(フリーハンドでラインを描けない)世界のルールの中でそれを煎じ詰めることで「リアリティ」を獲得します。そして、その世界のルール中から、その工業製品が目指したい「ヒーロー性」を目指します。
この一連のフローをシュミレーションし、ループさせ、目に見える形にしていったのです。
この新しいアプローチにより「リアリティとヒーロー性」を同時に高めることを試み、チャレンジしたのがこのexzoskeletonです。